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社長コラム:PRESIDENT’S COLUMN

vol.012「とにかく戦争だ。俺も戦いに行く!」

米国での同時多発テロ。その日、僕はすぐボルチモアに本社を置く、アンダーアーマーの社長、Kevinの携帯に電話を入れた。ボルチモアはワシントンDCから車で1時間程度、電話のでの会話、一言目から正に緊張の極みを感じられる声色であった。直接的な危険があったわけでもなく、また営業を停止するといった具体策を抗じた訳でもない。ただ、激しい感情がKevinの心を昂ぶらせ、また、社会人としての日常を破壊していた。

テロにおけるダメージは米国人たちの精神状態を根底から揺さぶっている。テロ以来、米国における各種消費は激減しているという。アンダーアーマーも同様だ。モノを買っている場合ではない、ということであろうか...。

何もかもぶっ潰してしまうテロリズム。
命、建物、会社機能、生活、株価、安心感、経済etc., etc.
何ということだろう。なんとも悲しく、悔しく、何も言葉が出てこない。

人間はなんて愚かなのだろう。人は間違いを犯す。「人」とは対面している「他人」でもあると同時に「自分」でもある。先ずは自分の間違いを認識することが平和への第一歩だとも思う。

亡くなった人々やご遺族、救助活動に励んでいる人々、これから突入するだろう戦争へ向かう兵士、自衛隊の人々...。無差別なテロは直接の関係者はもちろん、まるで関係のない我々の心をも蝕んでいく。飛行機に乗るたびに恐怖を覚えたり、旅行を遠慮したり、輸入品の価格が上昇したり...と。また、世界各地で普通に暮らすアラブ系の人々や敬虔なイスラム教徒の人々はいわれの無い疑念の中を生きていかなくてはならいだろう。

世界中の人々を一気に不幸のどん底に落とし込んだテロ。

死刑が凶悪犯罪を根絶させないのと同様、戦争や報復が解決策ではないことは確かかもしれない。でも、まだまだ人類はそんな武力報復をして問題を解決する、ということは避けて通れない選択なのだろう。

今の世の中は理屈や真理、冷静な理論などではなく「納得性」という「情緒」が最も強力なルールとなっている。このルールがいつ頃から変わっていくのかは分からない。ただ、変えていかなくてはならないのは確かであろう。報復が不毛なことは誰もが薄々感じているのかもしれない。ただ、自分が何らかの当事者であったら「報復などすべきでない」とはとてもいえないだろう。親戚縁者が被害にあっていたら、誰を恨めばいいのだろう。Kevinのように、すぐそばの国務省が攻撃され、日常を破壊されたら、「戦いに行く」という気持ちも湧き上がるだろう。

情緒や感情は玉虫色、ただし有事は「待ったなし」である。実際やるかやられるかの世界。命をかけて「自分以外の何か」のために闘うのである。奇麗ごとは通らないし、時は刻一刻と迫ってくる。戦地ではどんな職務であれ、命がけである。派遣されるべき自衛隊の役割も時代とその時々のルールにより、明確に変更されるべきだろう。過去や判例にこだわる必要は微塵も無い。事実、我々日本人も数十人という被害を受けているのだ。

本当に遠く険しい平和への道。

時代とともに移り変わる平和の定義。人間一人一人が「平和」を真剣に考え、情緒的な解決とは違う、新しいアイデアや秩序が生まれることを願って止まない。また、そんな新しい秩序を形成する一つの人格でありたいと強く思う。


犠牲者の方々に心から哀悼の意を表します。


号外
タフィー・ローズ選手が日本タイ記録の55号HRをかっ飛ばした。アンダーアーマーの新作、SkullCapを被って練習しているタフィーの雄姿をニュース番組で見た方も少なくないだろう。日本の野球や生活をこよなく愛し、あくまでも大阪近鉄にこだわるタフィー。本当に、感動をありがとう。是非とも56号を打って新しい記録を作るとともに、新しい時代の流れ・・・国際化、多様化等々・・・をつくり、新たな道を切り拓いてください。

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